ダイアリーオリジナル:武田探偵の事件簿:切断島殺人事件:#22

 霧島は、武田に訴えるような感じに、その推理に反論し始めた。それはおそらく、今までともに過ごした仲間を庇う形で・・・。
「前にも話しましたけど、伝道鋸の刃は、その例の事件以来全て処分しているんですよ?仮に食料の買出しの序に買ったとしても、買ったものは全て島に戻ってから全員で一回確認するんですから・・・、絶対に刃を買っておくことなんでできないんですよ!?」
「・・・、そうでしょうね。」
「だ、だったらその刃はどこから・・・!?」
「霧島さん、前回の買出しはいつでしたか?」
「えっと・・武田さんたちが来る前日ですが・・・・?」
「そこで、〝画用紙〟は買いましたか?」
「え?が、画用紙?か、確認したときはまあありましたけど・・・。ま、まさか画用紙が刃だなんて・・・?そんな馬鹿な・・・。」
「そうなんですよ。画用紙が刃なんです。」
 武田の口から出た言葉、『画用紙が刃』・・・。それはすなわち、この事件のトリックを示すものでもあった。
「ど、どういうことなんだよ!?」
 怒鳴る口調の松谷興一。その言葉のあと、きわめて冷静な口調で武田が言った。
「皆さん、紙で指を切った経験は・・・ありますよね?」
「ま、まぁ辞書を引く時とか、たまに・・・。」
 そういったのは、鳶沢千晶。落ち着いた表情で言っているところからして、何とか落ち着きを取り戻したのだろう。
「そもそも、紙というのはとても鋭利なものでして、その鋭さはカッターナイフとほぼ同じだそうなんです・・・。」
「そ、それがどうしたって・・・・。」
「簡単な話です。画用紙を電動鋸の刃と同じ形に来て、それをセットしたんです。」
「は、はぁ!?んなことが出来るわけ・・・。」
「出来るんですよ、零次!」
「ホーイ。」
 そういって零次が出したのは、6つのうちの最もキレイな伝導鋸と、画用紙で作った歯、そして、希美子たちの前にある小さな丸太であった。
「それじゃ、零次、よろしく。」
「オッケーガッテン!」
 そう言って、零次が電動鋸の電源を入れた。