このお題を見て真っ先に思いついた

今週のお題「思い出の先生」

 ウルトラマンメビウスに、「思い出の先生」というサブタイトルの回がある。

 昭和ウルトラマンとのつながりを唯一持つ平成作品、ウルトラマンメビウスは、中盤のウルトラマンタロウの客演をきっかけに、これまでの昭和ウルトラマンが続々と客演をした。その中で「思い出の先生」の回で客演したのは、ウルトラマン80だ。

 はじめにウルトラマン80について軽く説明をする。1980年に放送されたこのウルトラマンは、教師であり本作の防衛チームUGMの隊員でありウルトラマンである主人公・矢的猛が、人間の負の感情=マイナスエネルギーによって誕生したり呼び出された怪獣と闘う特撮番組だ。もっとも、マイナスエネルギーと関係のない話もあるのだが、かのSF大作、スターウォーズに対抗して、ミニチュアや特撮シーンが極めて凄いものになっており、特撮好きは必見の作品である。

 さて、このウルトラマン80は教師設定があるのは前述したとおりだが、残念ながらこの設定は本作の第12話を持ってぱったり消滅してしまう。その理由は様々な噂で溢れかえっているが、実際は子役の都合や子供たちによるマイナスエネルギーの話だけでは持たなくなったことが挙げられるようだ。とにかく、先生としての主人公矢的猛は、4分の1足らずの話数で終わりを告げていたのである。

 矢的猛は担任教師の設定だ。ではその後学校はどうなったのか? 教師としての終わり方がなかった本作の続きを描いた、ウルトラマンメビウスの「思い出の先生」は、ウルトラマン80真の最終回として名高い。日本オタク大賞06/07で最優秀賞を受賞するほど、その内容は良いものだ。

 さて、ここからは「思い出の先生」がどんな話かをつづる。かなりの長文なので心してみてください。

 物語は、一人の不登校気味の少年に、担任の塚本が家まで迎えに来るところから始まる。少年は、今更学校に行っても遅いよ、というが、そこで塚本先生は、自身も過去に不登校だったことを明かす。逆立ちしながら。これは、自分が不登校の時に先生が見せてくれた、「地球を背負って立つ」行動。地球を支えている気になれると、そう少年に行ったのだ。
 塚本先生と少年が学校につくと、クラスの学級委員が迎えに来てくれた。少年が思っている以上に、みんなは優しかったのだ。そんなクラスを担任に持つ塚本先生が勤務しているのは、桜ヶ岡中学校だった。

 そのころ、宇宙より円盤を追いかける一人の巨人がいた。円盤は巨人の光線にあたり、南に位置する孤島に不時着。正体は円盤生物・ルベルガー二世*1だった。このロベルガーを追い、宇宙から飛来した巨人。それは、ウルトラマン80だった。

 ロベルガー二世と対峙する80だが、80自身は円盤生物との対決は初めてであり、一歩押されてしまう。そこへウルトラマンメビウスが登場、2人でロベルガー二世と対峙する。そして、メビウスはメビュームシュート、80はサクシウム光線で見事撃破した。

 ウルトラマン80が地球へやってきた理由は、ほかにもあった。近く、マイナスエネルギーが再び発生すると忠告したのだ。このころ、メビウスの正体は隊員には既にばれており*2、それに伴って調査をしていたところ、ロベルガーが出現、80も現れたのだった。だがマイナスエネルギーは人間の負の感情から生まれる、という部分までしか分かっておらず、未だ研究過程にあると隊員の一人、テッペイは言う。

 一方の桜ヶ岡中学に、2人の男が校舎に入った。サラリーマン風の男は”落語”、もう一人のエプロン姿の男は”スーパー”と互いを呼びあっていた。桜ヶ岡中学はほかの学校と統廃合することになっていた。そこへやってきた塚本。塚本と落語、スーパーは、桜ヶ岡中学の同級生であり、矢的猛の教え子だった。3人は、後者が取り壊される前にクラス会を開くことを決める。

 主人公・ヒビノミライは、桜ヶ岡中学校周辺で微弱なマイナスエネルギーを感知。学校へ調査に赴いていた。塚本はミライに、UGM元隊員の矢的猛の所在を聞くが、立場上言えなかった。夜、80にクラス会のことを話すが、80は戦いが激化し、教師として活動できなくなったと話す。そのため、教え子のことは忘れてはいなかったが、合わせる顔がないのか、クラス会の参加を拒否する。

 翌朝の新聞に、80の記事が載っていた。塚本、スーパー、落語は、空に向かって矢的猛に、クラス会を行うことを大声で叫ぶ。学校ではそれでも、微弱なマイナスエネルギーが発生していた。隊員の一人、コノミ隊員は、廃校になる学校からマイナスエネルギーが出るのでは、と推測する。だがミライはそんなことよりも、80がこれないことを塚本たちに言えずにいたことが胸の中でつっかえていた。

 とうとうクラス会の時が来た。”ファッション”と”博士”も学校にやってきて、矢的猛のクラスが勢ぞろい。なかには、過去に失恋して怪獣を呼び出した”真一”の姿もあった。矢的猛にメッセージを送るため、あえて屋上でクラス会を開くことになっていた。だが、桜ヶ岡中学校のマイナスエネルギーが急上昇。なんと、過去に登場した怪獣、硫酸怪獣ホーが出現したのだ。

 ミライはウルトラマンメビウスに変身。防衛チームGAYSも出動するが、GAYSの攻撃はなぜか体を突き抜けて効果がない。メビウスはホーの目から出る硫酸の涙に圧倒されてしまう。だが、ホーはふと泣き止む。見上げると、遠くの星から、一人の男がやってきた……!

「あ……あれは!」

ウルトラマン……!」

「80!」

「俺たちの!」

ウルトラマンだ!!」

「矢的先生……!」
「矢的先生ーーーー!!!」

 現れたのはウルトラマン80だった。マイナスエネルギーによって誕生した怪獣は自分が倒すという80。ホーは、自ら光線にあたりに行き、光となって消えていく。ホーは、学校が生徒たちに合わせるために生まれた幻影だったのだ。80を前に、教え子たちは次々に自分たちの今を伝える。そして、クラス一同、80の前で仰げば尊しを歌う。

 80とメビウスが去り、ミライは校門近くで塚本たちを見ていた。その後ろから現れたのは、矢的猛の姿となった80だった。80こと矢的猛は、自分の言葉で謝りに行くといい、生徒たちのもとへ向かう。夕暮れの、思い出の地で、20年近くの時を経て先生と生徒は再開したのだった。

 
 以上が、ウルトラマンメビウスの「思い出の先生」というお話。この文章だけでは、きっと良く分からなかったかもしれませんね。さあ、DVDをレンタルしてこの回だけでも観てください。

 そうそう私の思い出の先生は中学時代、いじめにあっていたことを親身になって相談に乗ってくれた担任の先生です。今週のお題のタイトルのせいでつい熱く語ってしまったよ! 80観てね!

*1:ロベルガー:ウルトラマンメビウス第31話「仲間達の想い」に初登場した円盤生物。円盤生物とは、ウルトラマンレオの最終クールに登場した円盤に変形できる怪獣の総称なのだが、本編で新種として登場したのがロベルガー。この回では、二世として登場した

*2:ウルトラマンメビウスは、タロウ客演回の前後編で隊員全員にウルトラマンだとバレてしまう。が、隊員たちとメビウスの絆の深さに免じ、タロウは地球にとどまるよう指示した