ダイアリーオリジナル:武田探偵の事件簿:切断島殺人事件:#21

 暗闇の中で、武田は犯人に向かって推理を言う・・・その前に零次が、武田に問いただした。
「ほ、本当にこの人が犯人なの・・・?」
「ああ、この人が、鹿沼さんと雪村さんを殺害し、漁船を破壊、そして鳶沢さんを殺害しようとした、真犯人なんだ。」
「くっ・・・。」
 いやな汗を流す犯人を前に、涼しい顔をした武田が、最初に3年前のじけんから話し始めた。
「この事件は、皆さんにとって嫌悪感を与える、3年前の事件が関係しているのです。」
「ちょ、た、武田さん!それは言わないって・・・!」
最初に声をあげたのは、武田の後ろにいた霧島竹光だった。
「ごめんなさい、霧島さん。でも概要は話しません。概要は一応千晶さんから全て聞きました・・・。この事件で殺された鹿沼さんと雪村さんは、その3年前の事件に関与していたんです。」
「ええ!!?」
「ここではその当時の内容は言いませんが・・・・。あなたは、その事実をどこかで知ったんでしょう。そこで、犯行に及んだんです。」
「え?まって。犯人はどうやって・・・か、鹿沼さんを・・・・後雪村さんを・・・殺したの?」
 次に声を出したのは、松谷優実であった。
「2人の死因は、頚動脈の切断による、失血性のショック死でした。簡単に言い換えれば、ナイフで首を刺したんです。」
「うっ・・・・。・・・・じゃあ、そのあとに切り刻んだってことなんですか・・・?」
「ええ。この切断には、2つの意味があったんです。」
「ふ、2つ!?なんだよその2つって!?」
 次に声を出したのは、優実の兄の興一であった。
「まずは1つ目、これはまさにこの島の伝説になぞらせる為・・・。そしてもう1つは、『首の傷跡を目立たなくさせる為』だったんですよ。

「え!?」
「首の傷跡を見れば、誰もがナイフで刺したと思うはずです。しかし、首が胴体から離れていたら・・・?そんな傷は目立たなくなり、生きている間にバラバラにされた・・・と思わせるつもりだったんでしょう。」
「でも、何でそれが分かったの?」
「それはな希美子、死体の出血量が少なかったからなんだ。」
「ど、どういうことなんですか?武田さん・・・。」
「普通生きている間に首を切断したのなら、それこそ大量の出血で、返り血も浴びているはずなんだ。それがあったところで少ないということは・・・?」
「死んだために血液が循環せず、出血が少なかった・・・てことか!!」
「ああ・・・・。」
「で、でも、その・・・電動鋸の刃・・・は?!」
 果たして、そのトリックとは・・・?