武田探偵の事件簿:未知と悪魔のサイエンス:#16

 〝小木渉〟・・・警視庁捜査一課の巡査部長である。お気に入りのメモ帳は、操作中での証拠等を記入している。彼にとって、警察手帳は一種の勲章としているようで、その勲章に書き込むことに躊躇っていた所、仁本警部にメモ帳に書けといわれたことが、メモ帳に書く切っ掛けとなったようだ。
武田「・・・仁本警部・・・おそらく遅効性の毒を使われていたものと思うのですが・・・」
仁本「ち、遅効性の毒?何故そんなことが・・・」
零次「さっき、タッツーが話してたことをいうとね・・・この三千子氏は、乾杯をして全員がワインやウイスキーを飲む前に倒れたんだって。」
武田「そのときの全員は、グラスに口をつけただけ・・・そして、三千子氏のテーブルには、もち米を使った料理・・・のどが詰まったんでしょうか?乾杯する前にこの赤ワインを口にしたんでしょう。」
仁本「な、成程・・・鑑識さん!至急毒物の成分を!」
鑑識「すでに鑑定済みです。毒物は、フグ毒・・・テトロドトキシンだと思われます。」
 テトロドトキシン・・・フグが持っている強力な毒物である。血液中に直接この毒が入ると、1分もしないうちに毒物が体中に回り、死に至る・・・だが、口から入れた場合、毒の回りが遅くなり、可能性的には、助かる余地がある。三千子氏は、口からテトロドトキシンを含んだワインを飲んだことに間違いないようだ。
武田「・・・・スタッフさん・・・」
スタッフA「は、はい!」
武田「この会場で配られた飲み物は、配る前にどこにおいてあったのですか?」
スタッフA「は、はい!そこのバーの横に、全員分のワイングラスを台車に置いてありました。」
武田「全員指定されたグラスでしたか?」
スタッフA「いいえ・・・ほぼ適当です。」
 ピンポイントで三千子氏を狙ったのであれば、トリックを使ったに違いない。だが、無差別の可能性もでてきた。毒物混入のトリックは・・・?

                         〜第2章 終〜