オリジナルサスペンス2:武田探偵の事件簿:推理同好会殺人事件:#2

 中には、おそらくサラリーマン風のYシャツを着た男性、見るからしてアニメオタクの女性、ヘビースモーカーの女性に、これは質素なお嬢様風の女性だ。
「あ、あなたがHBさんですね!!」
 そういって武田に話したのは、アニメオタクの女性だ。
「えっと・・・あなたは・・・?」
「ヤッダー!!分かるでしょ?コナンよコ・ナ・ン!!」
 なるほど、アニメオタクで推理好き・・・、名探偵コナンというわけか。いや、そこだったら、アーサー・コナン・ドイルってことにしておこう。
「あ、この方はHBさんのお知り合いで・・・本物の探偵さんだそうです!」
 杉下さんが、普通に私が零次・・・、HBさんでないことを告げてしまった。なんかろくでもないことになり―
「え?!本物の探偵!?あっらヤッダー!!マジ超ラッキー!!色いろお話聞かせてもらえますか!?」
「あ!僕も・・!」
「わ、えっと、私も・・・・・。」
 あれ?なんか超雰囲気がいい・・・。なるほど、これが推理好きの集まり、というわけか。本物の探偵にあると、興奮するようだ。
「あ!私は『二階堂』!よろしく!」
「えっと・・・、本名・・ではないですよね?女性探偵の・・・」
「そう!二階堂はHNで、二階堂蘭子から!」
「僕は『畑三郎』です!」
「畑三郎・・・?古畑任三郎ですか・・・?」
「はい!」
「わ、私は・・・『灰色』です・・・。」
「灰色・・・グレー・・・、コーデリア・グレイ・・・・ですね。」
「あ、さ、流石です・・・。」
 しまった。とりあえず本を読む私は、つい職業病で読んでいる小説から、HDの意味を当ててしまった。これはまさか・・・。
「もしかして、探偵さんも推理好き?!いや、そりゃそっか!推理『小説好き』か!!」
 ほらきた。まあ、最初に好印象が与えられれば、遣りやすいだろう。どうやら、この場にはすぐに馴染めそうだ。