ダイアリーオリジナル:武田探偵の事件簿:切断島殺人事件:#23

「た、田部慎一郎自身が持っている・・・物的証拠?」
「だ、だから犯人じゃないですって!物的証拠なんて・・・。」
「いいえ、確かにあります。第一あなたが今持っているんですから・・・。」
 田部慎一郎が所持している、物的証拠・・・それを、口を緩めた武田が言った。
「あなたの服装然り、全員の服装が、最初の鹿沼殺しのときから特に代わっていません・・・。まあ、代えていたとしても対して支障はありませんが・・・。田部さん、あなたの服に、鹿沼さんと雪村さんの血液のDNAが発見されたら・・・?いや、絶対についているはずです。」
「え?た、タッツー?それはさっきタッツー自身が言ってたじゃん!死んだ人が大量出血しないって!」
「ああ、しないさ。『大量出血』は・・・な。」
「!!?ああ!!」
 零次がすぐに気づいた。武田が言いたかったのはこういうことだ。確かに死体を切断しても、大量出血はありえない。しかし、出血なら例えしたいでも、血がなくならない限りは出る・・・ということだ。
「電動鋸で切断したなら尚、あなたの服に付着しているはずです。殺害された2人の残した、声なき証拠が・・・。」
「い、言っていることがよく分かりませんね・・・。血?だから私はやってないって・・・。」
「そんなにしらばっくれるならいいですよ。警察に調べてもらって、結果が出れば・・・。」
「え?け、警察・・・?よ、呼べないはずじゃ・・・。」
「ええ。あなたが壊した船の無線からじゃ呼べません。でも私は、この島に唯一ある『パソコン』から、直接警視庁の知人にメールを送りましてね?『鑑識課』と一緒に来てくれと頼んだんですよ。警察が来るのも時間の問題・・・。警察が来て証拠を調べ上げられて、挙句の果てに結局あなたが犯人だった・・・と言う結末だと、あなただけでなく、今まで一緒に過ごしてきた霧島さんたちも心を痛めると思いますが・・・。私はあくまでも自首を勧めているだけです。するかしないかは田部さん、あなた次第ですよ?」
「・・・・・・・・・。分かりました・・・。全てを、認めましょう。私が、あの2人を・・・殺しました。」
「!?」
 田部の動機とは・・・?