ダイアリーオリジナル:武田探偵の事件簿:切断島殺人事件:#23

 ギュイイイイイインと、けたたましい音を奏でる電動鋸に対して、耳をふさぐ人も。
「こ、これで何をしようってんだ・・・!?」
「まあ、それは見てから・・・。零次、その電動鋸で、その丸太を切断してくれ。」
「あいよー!」
「は、はぁ!?そ、そんなことできるわけ――――」
 全員が目にしたその光景は、まさにあの恐ろしい切断トリックを見ただけで解説しているような、そんな光景であった。
「ま、丸太が、いとも簡単に伐れて・・・!?」
 驚いた口調で言ったのは、斉藤ひかるであった。
「今回使用したのは、画用紙です。丈夫な紙なだけに、丸太はおろか、人体を切断するのにも好都合な強度だったんでしょう。しかし、それが裏目に出たんです。殿堂鋸に、画用紙の破片が残っていたんですよ。」
「そ、そうか!その画用紙で作った葉を処分するのは何らかの方法で簡単に出来るけど、偶然起きていた人がいたら、犯行を目撃されかねないから・・・!!」
「そう、犯人は偶然をも想定して今回のトリックに望んだんでしょう。しかし、本番で焦りが生じ、破片が残ってしまった・・・。そうですよね?『切裂鬼』という名前で2人の人物を殺害し、鳶沢千晶さんをも殺害しようとした真犯人の・・・。」
 そして、武田は今回の、瀬津檀島で起きた陰惨な惨殺事件の犯人の名前を言った。
「田部慎一郎・・・・さん?」
「?!」
「し、慎一郎が・・・真犯人・・・!?」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ探偵さん!確かにそれなら僕だって可能ですけど、それはひかるや松谷兄妹にだって言えることじゃないんですか?」
「ええ、言えます。あなたが特別な存在でなければ・・・ね。」
 田部慎一郎の、『特別な存在』とは・・・?