ダイアリーオリジナル:武田探偵の事件簿:切断島殺人事件:#20

「・・・・・鳶沢千晶・・・、あとはアイツを殺すだけ・・・か・・・。復讐するのにどんなに時間がかかったか・・・。それもこれで終わりだと思うと精々する。絶対にこの方法は思いつかないはずだ・・・。絶対に・・・。」
 一人部屋の中でつぶやくのは、内容からして明らかに犯人であることは間違いないだろう。その犯人がいる部屋の前を、武田たちが通った。
「あ、そうだタッツー。」
「ん?なんだ?」
「んーーっと・・・、ああそうだ、一郎君と希美子ちゃんと法子ちゃんは先に部屋に戻ってて!ちょっとタッツーに話したいことが・・・。」
「えー!私たちだっていたっていいじゃない!」
「あとで内容は話すからさ!今はちょっと2人で・・・。」
「零次さんがそこまで言うなら・・・一郎さん、希美子さん、とりあえず戻ってましょう?」
「の、法子ちゃん!?えー、うーん・・・、まあいいか・・・。絶対に教えてよね!」
 そういって、3人は部屋に戻った。その会話の内容を聞いていた犯人は、ある仮説を立てた。
「零次という奴・・・もしや、犯人が分かったとでも・・・?・・・・・・、だったら尚更か?はやく千晶を始末しておけば、逮捕されても復讐は成し遂げたことに・・・。よし、様子を見て動くか・・・。」
 そのころ、零時は武田にある疑問をぶつけている最中であった。それは、3年前の事件についてである。
「3年前の事件についてか・・・。そういえば言っていなかったな。簡潔に言うけど、良く聞いていてくれ。」
 そういって、武田は霧島から聞いた3年前の事件の概要について、零次に語った。
「そ、そんなことが・・・。じゃぁ、そのバラバラにしたのは・・・。」
「おそらく〝このトリック〟ではなく、実際の刃だろうな。」
「え!?何で・・・?」
「それは・・・、ん、時間だ・・・。そろそろ犯人が動く頃だろう。そのことについては、犯人の前でも言うから、置いといておこう。希美子たちを呼んで、早く鳶沢さんの部屋へ・・・!」
 そういって、誰にも気づかれないように、犯人のあとを追った。それに気づかない犯人は、悠々と鳶沢千晶のいる部屋に入る。
「千晶・・・、お前がいけないんだ・・・。アツシとレイカは・・・、お前らのせいで!!!・・・・・ん?手ごたえはあるが・・・、元から息はしていな・・・い?」
 布団に包まっている鳶沢千晶にナイフを刺した犯人であったが、なにやら様子がおかしい。鳶沢千晶ではない・・・?そのとき、鳶沢千晶の部屋に、武田たちが入ってきた。
「それは薪さ。」
「!?」
「貴方が鳶沢千晶さんを殺害するというのを先読みして、薪に摩り替えて置いた・・・。本物の千晶さんは、今私の部屋にいる・・・。貴方が今回の2つの事件の犯人・・・、『切裂鬼』ですね?」
 こうして、この事件の解決パートに移った。