ダイアリーオリジナル:武田探偵の事件簿:切断島殺人事件:#19

武田が、今回の事件の犯人が誰なのかがはっきり分かったことを、零時は武田の顔を見ただけで分かった。そのため、零次は武田にこんなことを聞いた。
「ねぇタッツー、犯人分かったんでしょ!」
「え?」
「だって『犯人が分かったような顔』しているんだもん!」
「・・・、何だその『実は犯人は違うよ』みたいな言い方は・・・。んまあ、犯人が分かった、というのは有ってはいるが・・・。」
「え?有ってはいるって?」
 武田は、有ってはいるの意味について詳しく話した。
「零次、俺は前に『物的証拠を見つけた』と言ったのを覚えてはいるな?」
「もちろん。」
「結果次第では、その物的証拠は偽の証拠という可能性もあるわけだ。」
「え?!ど、どういう・・・こと?」
「簡単に言えば、『バラバラに切断したトリックをまだ実証できていない仮説段階』というわけだ。」
「なるほど。言いたいことは分かった。つまり、実験したいわけだね?準備するもの、是非言ってよ!霧島に頼んで、あるものはもらってくるからさ!」
「桐嶋さんは犯人でないことは実証済みだからな、それは先決だろう。じゃぁ、桐嶋さんに・・・・・・の3つを貰ってきてくれ。それと・・・。」
「電動鋸を使っていいか、だね!OK!タッツーがそういうなら、それがトリックの道具なんだね!」
「ああ!頼んだぞ!」
 こうして、零次は霧島から武田に頼まれたものを持ってきた。武田は、そのうちの2つを使い、あるものを作った。そして、希美子たちも呼び、実験を開始した。もちろん、霧島たち全員が寝ているときに・・・。
「た、タッツー、本当にコレで実証できるの?」
「ああ、多分。」
「た、武田さん!?多分って・・・。」
「一郎君の言うとおりですよ!たつ・・・武田さん!多分って、かなり不安になりますよ!?」
「その不安を今から解消する。それじゃ希美子、ここに〝アレ〟を乗せてくれ。」
「オッケィ!・・・はい!」
「それじゃ、実証開始・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・!?え!?な、何で・・・!?」
「・・・・!実証成功だ・・・。さて、犯人の〝あの人〟は多分、鳶沢千晶を殺害するために動くだろう・・・。先手を打っておこう。」
 武田が実証させたトリックと、先手とはいったい何なのか、そんなことも知らない犯人は、悠々と鳶沢千晶のいる部屋に向かっていた。