ダイアリーオリジナル:武田探偵の事件簿:切断島殺人事件:#18

「ま、まってタッツー!!」
 零次は、武田に自分の疑問をぶつけた。それは、先ほど武田が言った、『物的証拠』についてだ。
「ぶ、物的証拠って・・・。凶器は?電動鋸なの?」
「いや、凶器はキッチンのナイフだろう。死因が頚動脈切断による失血性ショック死・・・。もしデンノコですぐに切ったとしたら?」
「あ!『返り血が凄いことになっている』はず!てことは、デンノコはわざわざ、この島の伝説になぞられるように・・・?」
「それはどうかな?ま、とにかくこの電動鋸には決定的な物的証拠が残っている・・・。あとは犯人だけなんだがな。」
 そういって、武田は広間に戻り、真っ先に容疑者である松谷兄妹、田部慎一郎、斉藤ひかるを武田の部屋で取り調べることにした。そして、そのあと鳶沢千晶にも取り調べることにした。順番は、松谷興一、その妹と松谷優実、田部慎一郎、斉藤ひかるの順だ。
「では興一さん。私とあなた以外は全員広間にいます。まず、一昨日と昨日の夜、どうされていましたか?」
「どうって・・・、寝てたよ。」
「でしょうね。」
「おい!聞いといて・・・。」
「次の質問です。殺害された2人には、誰かに恨みをもたれるようなことはされていましたか?」
「さあ・・・、いないとは思うけど・・・。あ、言っちゃ何だとは思うけど、優実さ、いや謙輔は関係ないけど、香苗となんか前揉めてたんだよね・・・。場合によっては、優実が恨み持っているかも・・・、そうであってほしくないけれど・・・。」
 次に松谷優実。
「私は・・・寝てました。」
「でしょうね。」
「ちょ・・・え?」
「次の質問です。殺害された2人に、恨みを持っていた人をご存知ですか?」
「恨み?恨みねー・・・。田部慎一郎さんは、鹿沼謙輔さんとよく口げんかしていたけど、それって関係はありますか?」
「どうでしょう・・・。」
 次に田部慎一郎。
「昨日と一昨日の夜・・・。寝てましたよ。」
「でしょうね。」
「え?え??知っていたんですか?」
「次の質問です。殺害された2人は、誰かに恨みを売っていたりしていましたか?」
「そりゃ、首を刺されるぐらいの恨みだもんなー・・・。あ、ひかるが確か、大切にしていたものを壊されたとかで2人と揉めてましたよ。」
 さいごに、斉藤ひかる。
「えっとそのときは普通に寝てましたけれども・・・。」
「でしょうね。」
「でしょ?」
「・・・つ、次の質問です。殺害された2人には、誰かに恨みを買われていたというのは・・・?」
「うーん、やっぱ興ちゃんかな?香苗とはどうかは知らないけれど、謙輔とは妹の優実のことで喧嘩していたけど・・・。」
 そして、鳶沢千晶。
「知らない・・・知らない・・・機能なんて・・・一昨日なんて・・・知らない。」
「・・・、殺された2人には、誰かに恨みをもたれるようなことを?」
「・・・・・・!!あああ、アツシ・・・れれれ、レイカ・・・・。」
「落ち着いてください。大丈夫です、私がいます。すべて話してください。」
「・・・・・・こ、こ、殺しちゃったの、私・・・謙輔と香苗と一緒に・・・アツシとレイカを・・・。」
「え?」
「私が・・・レイカと外で喧嘩して・・・。かっとなって押したら・・・倒れて岩に頭をぶつけちゃって・・・。息が・・・もう・・してなくて・・・。それをアツシに見つけられちゃって・・・攻められていたら・・・後ろから謙輔が石で殴って・・・。それを見ていた香苗も、謙輔が同罪だって言って・・・2人を・・・バラバラに・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
 鳶沢千晶はそのまま泣いてしまった。しかし、彼女のおかげで、『犯人が誰なのかが』はっきりしたようだ。