ダイアリーオリジナル:武田探偵の事件簿:切断島殺人事件:#15

 霧島の部屋・・・今は鳶沢千晶の『鎮静室』になっている部屋から出た武田と霧島は、倉庫で見た光景をありのままに話した。
「んな・・・、香苗ちゃんも・・・!?」
「もちろんその倉庫にも、彼女の血で、『これで復讐は終わった。だが、まだ呪いは続く。切裂鬼』と書かれていた・・・。」
「ふ、復讐?」
「おそらく、倉庫になぜかいた鳶沢千晶さんにも、何らかの恨みを持っていたんだろう。最初の事件の鹿沼謙輔殺しがその例だ。彼が殺害されたことを聞いた途端発狂しだした・・・。この状況で、もう一人が殺害され、さらにその現場に残されていたら、精神的におかしくなってもおかしくはない・・・。鹿沼謙輔と雪村香苗、そして鳶沢千晶には、何らかの恨みを買うような行為をしたのかもしれないんです。」
「恨み・・・。」
「とりあえず霧島さん、ちょっと話があるのでいいですか?」
「は、はい・・・。」
 そういって、松谷兄妹、斉藤ひかる、田部慎一郎と、希美子、法子、零次、一郎を広間に残し、武田は借りている部屋で霧島と話をすることに。
「まず、霧島さんに問いたいことがあります。『3年前の事件』・・・のことについてなんですが・・・。」
「!?・・・、いや、それは、ちょっと・・・。」
 霧島は、この『3年前の事件』についてなぜか隠そうとする。武田は、この『3年前の事件』が、今回の事件の鍵となるに違いないと思っている。武田は、さらに問い詰めた。
「霧島さん、倉庫の血文字を見ましたよね?あれには、『復讐は終わった』と書かれているんです。つまり、犯人の当初の予定では、『鳶沢千晶が発狂して自殺する』というシナリオだったはずなんです。しかし、それは私とあなたによって覆された・・・。犯人は今度、直々に千晶さんを殺害するのかもしれないんですよ?」
「は、犯人って・・・!?我々の中にいるとでも!?」
「ええ。この狭い島に、あなた方以外の人間がいるとは考えられません・・・。あなたが3年前の事件について話さないのは、何らかの理由があるのは分かっています。しかし、今話さなければ、千晶さんの命が危ないんですよ?」
「だからってなぜ僕に・・・。残っている4人でも・・・。」
「その4人の中に犯人がいると思っているからですよ。あなたは朝、私と同じ時間におきました。あなたはキッチン、私はパソコンルームです。部屋は、広間から続いて、書庫、パソコンルーム、個人の部屋・・・隣、倉庫、勝手口に続いています。あなたが犯人であれば、それこそ『雨の降っている外に玄関から出て、勝手口から入り、千晶さんの部屋に入って倉庫まで移動させないと行けない』んです。」
「ぼ、僕が犯人なら、そのまま廊下を通って・・・。」
「パソコンルームを通ってから個室ですよ?広間からあなたが千晶さんの個室に行けば、私が気づく恐れがあります・・・。一か八かの勝負に出るよりかは、確実にばれない様にするほうが得です。つまり、状況から見てあなたは犯人じゃないんですよ。だからあなたに聞いているんです、『3年前の事件』のことを・・・!」
 霧島は観念したのか、千晶さんの命が心配だったのか、それとも武田に犯人ではないということを言われたのか、どれかなのかは定かではないが、3年前の事件について話し始めた。
「分かりました、3年前の出来事について、詳しく教えます・・・。このことは、千晶と、4人には言わないでください・・・それだけはお願いします・・・。」
「分かりました・・・!」