ダイアリーオリジナル:武田探偵の事件簿:切断島殺人事件:#13

「3年前の・・・事件?」
 武田はそう小声でつぶやいた。そもそも『アツシ』という人物と『レイカ』という人物に心当たりすらなかった。そして、鳶沢千晶が自ら口にした『私は殺される』・・・。彼女は、何者かに、いや『切裂鬼』という灰燼に殺されるようなことを、3年前にしたのだろうか?さまざまな疑問が浮かぶが、霧島は断固として話したくないという感じだったので、その点には触れずにいた。
 霧島は、鳶沢千晶が落ち着くまで、自室にいるよう言った。残った6人は、広間にて昼食。雪村香苗も、松谷興一も、その妹の優実も、斉藤ひかるも田部慎一郎も、全くしゃべることない、沈黙の昼食が過ぎた。
 夜。何事もないまま、その日が過ぎようとしていた。しかし、一人だけ、ぶつぶつとつぶやいている。
「謙輔は殺した・・・。次は千晶か?いや、今は狙わないほうがいいだろう・・・。『自分が殺される』とは思っていない、アイツを先にするか・・・。そうすれば、千晶は発狂・・・。私が手を下さなくても、自ら息絶えるだろうな・・・。どちらにせよ、この犯行は完璧だ。証拠なんて残らない。探偵の武田という奴も、このトリックには気づくはずがない・・・。そろそろ時間だ・・・。決行するとしよう、『切裂鬼』として・・・!」
 そして場面はある人の個室へと移る。先ほどつぶやいていた人物は、その部屋にいた。そして、何も知らず寝ている人の首に、キッチンの包丁を刺した。
「はぁ・・・はぁ・・・。これで2つ・・・。次はあそこに・・・。」
 切裂鬼の犯行現場を目撃している人は、今はいない。そのまま、夜が明けた。
「あ、おはようございます武田さん。昨日は良く眠れましたか?」
「どうも霧島さん。おかげさまで・・・。」
「それは良かったです!でも、まだ朝食まで時間があるので、この家のパソコンでも使いますか?」
「パソコン・・・。あ、それじゃお言葉に甘えて・・・。」
 武田と霧島が一番に起床した。そして、武田はその家のパソコンを使って、あるものを調べ始めた。