ダイアリーオリジナル:武田探偵の事件簿:切断島殺人事件:#12

「刃が・・・ない・・・?ほ、本当ですか?」
「は、はい、本当です。全て処分したんですよ・・・。3年前に起きた事件を機に・・・。」
「3年前の事件?」
「あ、気にしないでください!それでは、僕はコレで・・・。」
 霧島の口から出た、『3年前の事件』とは何なのか、武田は気になった。もしかしたら、今回の事件と何らかのつながりがあるのではないか・・・と。武田たちは、雨脚が強くなってきたため、いったん広間に戻った。
「あ、武田さん、お帰りなさい。今暖炉に火をつけるところです。」
「え?田部さん、今なんと・・・。」
「暖炉です。この家には広間にだけ暖炉がありましてね、1週間ごとに当番を代えるんですよ。今週は私なんです。」
「はあ・・・。ん?薪を紙で束ねているのは・・・。」
「ああ、紙も燃えるんで、いちいち外すよりかは、同じ有機物の紙で束ねて、一緒に燃やしてしまおうと、いらない紙を使っているんです。」
「いらない紙?」
「印刷した紙の余りを利用しているんです。パソコンがあるんで。」
「なるほど・・・。」
 意外にも、余りものを再利用しているようだ。・・・余りもの?と武田はある可能性を思いついた。
「余りもの・・・。霧島さん、もしも・・・もしもですよ?『電動鋸の歯が残っている』と仮定した場合、絶好の隠し場所というのはあるでしょうか?」
「・・・え?」
 広間の空気が変わった気がした。その刹那、鳶沢千晶が取り乱し、叫んだ。
「いやぁぁ!!泳いででも帰る!!私は殺される・・・3年前の『アツシとレイカ』のように!!」
「お、落ち着け千晶!!」
 武田は、再び疑問に思った。『3年前の事件』とは何なのか・・・。