ダイアリーオリジナル:武田探偵の事件簿:切断島殺人事件:#10

 家畜小屋で見つけた、鹿沼謙輔のバラバラ惨殺死体。瀬津檀島で起きたこの殺人事件は、まだ序章に過ぎなかった。
 武田たちは、いったんみんなのいる広間へ。そこでは、残っていた松谷興一と、一郎がコーヒーを入れて待っていた。それもそのはず、捜索の間に雨が降ってしまい、4人はぬれて冷えてしまっていたからだ。4人がコーヒーを飲み始めたとき、希美子が武田たちに捜索の結果を聞いた。
「それでで・・・、鹿沼さん、見つかった?その様子だと、見つかってないようだけど・・・。まさか、海に落ちたとか・・・!?」
「いや、一応見つかったよ。」
「お、おい、一応って何だよ!!」
 松谷興一がすかさず反論する。前に『一応』で零次に指摘されたからだ。
「一応・・・というのは・・・、あの、女性の方は聞かないほうが・・・。」
「い、いえ、聞かせてください!!同じ子の家で生活しているんですもの!」
 鳶沢千晶がそう言った。武田は、女性陣の覚悟を悟り、全てを話し始めた。
鹿沼謙輔さんは、外にある家畜小屋で、バラバラの状態で発見されました。死斑から、昨夜の、正確には、今日の午前0時から午前1時の間に殺害されたものと。」
「ば、バラ・・・。」
 暫し、広間に沈黙が漂った。すると、鳶沢千晶が大声を上げ、悲鳴を上げた。
「い、イヤァ!!今すぐこの島から出る!!こ、殺されたくない!!」
「お、落ち着け千晶!!」
「いやぁ離して!!」
「帰れません。」
「・・・・え?」
 全員が、武田の言葉に反応した。零次、慎一郎、霧島を除いて。
「ど、どういうこと・・・ですか?」
「船が・・・漁船が破壊されていたんです。残念ながら、無線も使えません。つまり、助けを呼ぶことなど、不可能ということです。」
「な、何よ・・・それ!!私たちはここ閉じ込められたってこと!?」
「そういうことです。『切裂鬼』という、なぞの人物に・・・ね・・・。」
 切裂鬼と名乗る人物の狙いとは何なのか、招待は何なのか、そんな疑問を並べながら、武田は零次と家畜小屋へ行き、現場検証を始めた。