ダイアリーオリジナル:武田探偵の事件簿:切断島殺人事件:#9

「お、おい・・・、嘘だろ・・・?」
 武田たちの目にまず飛び込んだのは、『破壊された1艇の漁船』であった。無論、無線機も壊れており、助け呼ぶことなどできない。
「ふむ・・・、漁船が壊されたとなると、いよいよ鹿沼さんの命も危ないと思いますね・・・。」
「え!?た、タッツーそれって・・・。」
「ああ、この閉ざされた島に閉じ込められた・・・。となれば、鹿沼さんは間違いなく標的となり、殺されている確立が高い。しかし、1人なら漁船は壊さなくてすむはずだ。にもかかわらず船が壊れたとなると・・・。」
「ほ、ほかにも標的がいる・・・ってこと?」
「そうなる。」
「た、武田さん!!?あなた何者なんですか?!突然謙輔が殺されているとか・・・!」
「私は探偵です。一応。それなりのことは推測できます。」
「・・・!あ、あなたが零次くんの言っていた探偵・・・?」
「あ、言ってたの?零次。」
「うん、言ってたよ。」
 無駄話をしすぎたと判断した武田は、まず鹿沼謙輔を・・・、正確には、すでに殺されているであろう『鹿沼謙輔の遺体』を探すことにした。もちろん、まだ死んだと断定できているわけではないが。
 武田は、霧島にどこか人を隠すのに絶好の場所がないかたずねた。
「隠す場所・・・。家畜小屋がありますが・・・?」
「そこに行ってみましょう。」
 4人は、家畜小屋へ急ぐ。家畜小屋に着いた武田たちは、驚く光景を目にした。最初に悲鳴をあげたのは、田部慎一郎であった。
「ヒィィ!!」
「け、謙・・・輔!!」
「なんだこれは・・・。」
 それは、頭部、右腕、左腕、上半身、下半身、右脚、左脚の7つに分離させられた、鹿沼謙輔の惨殺死体であった。そして、家畜小屋の壁には、奇妙な言葉が添えられてあった。
「『我は瀬津檀島に伝わる鬼。この島を荒らすもの全てを切り裂く者。逃げたければ逃げればいい。ただし、逃げたものは私が喰らう。切裂鬼』・・・だと?」